パリつぶ

パリジェンヌたちのつぶやき

伊藤若冲とジャン・ポール・エヴァンのショコラ  

f:id:bonjour-paris:20180731112125j:plainアンヌ

 

娘のカミーユと一緒に、プティ・パレ美術館で開催している18世紀の日本人画家伊藤若冲の展示会を見に行く。

 

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カミーユは子どもの頃から日本のアニメやマンガが好きだったが、4年前にグラン・パレ美術館の北斎展を見に行きたいと言い出したので少し驚いた。あの時はまだ中学生で、興味の対象が日本のマンガから日本の美術へと移ったのだと嬉しくなった。と言ってもマンガもまだ熱心に読んでいたから、興味の対象が広がったというべきだ。

 

若冲は、動物を題材にしているのでわかりやすいけど、日本より中国のイメージがある。でも、娘のカミーユは、「繊細だけど、力強さを感じる。京都に住んでいた人なんだって。やはり日本の中でも歴史ある都に住んでいたアーティストならではの作品ね」と独自の分析をする。

 

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北斎の展覧会ほどには混んでいなかったけれど、撮影禁止だったせいか、カタログ売り場に人が殺到し、レジに列ができていた。カミーユもそれを見て、「後でアマゾンで注文するからいいや」とカタログは買わずにプティ・パレを出た。

 

セーヌ沿いを少し歩いてから、カフェでランチをすることに。

昨日は遅くまで、アルノーと会っていて、朝は寝坊して、家を出る前はバタバタだったので、アルノーにもらったショコラをカバンに入れっぱなしだったことに気がつく。食後にエスプレッソを頼み、

「これ昨日、アルノーにもらったんだけど、食べない?」とカフェのテーブルでショコラの箱を開ける。

有名ショコラティエジャン・ポール・エヴァン

昔一度、仕事で彼に会ったことがある。確かカミーユを産んだすぐ後のボディ・ラインを気にしていた時で、ショコラを食べると太るのでは?と言ったら、エヴァンは、「自分のショコラは素材を厳選している。身体にいいものばかりなので、太ることはない」と断言していたのが、印象的だった。

 

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「このショコラ、アルノーからのプレゼントなの?」とカミーユが尋ねたので、

「プレゼントっていうか、一緒に仕事をしたアジア人のモデルの女の子からもらったんだって。彼、あまりショコラを食べないから私にくれたのよ」

「え?日本人のモデル?だったらその子、アルノーに恋してるかも」

「なんで?」

「日本では女の子が男の子に好意を示す時にショコラを渡すのよ」

てっきり太ることを恐れているモデルが、もらいもののショコラをアルノーにくれたのだとばかり思っていたけれど。

「ママ、確かめた方がいいんじゃない?」

「何を?どうやって?」

「少なくともそのモデルが日本人かどうか聞いた方がいいわよ」

「なんて切り出すの?」

「私がSMSを送ってあげる」

カミーユは私のスマホから私になりすまして、“カミーユと日本人画家若冲の展覧会に行って今、カフェであなたからもらったジャン・ポール・エヴァンのショコラを食べているところ。そういえば、ショコラをくれたモデルも日本人?”

と、目にも止まらぬスピードの指さばきでテキストを打って送信する。

「ね?これなら日本繋がりで自然でしょ?」

するとアルノーからすぐに返事が来て、“僕の恋人、週末の午後を楽しんでいるかい?モデルは若冲の国ではなく韓国から来た女の子だったよ。カミーユによろしくね”

カミーユはそのテキストを読んで得意げに、

「ママ、これで安心ね」

やれやれ。この茶目っ気ぶり、いったい誰に似たのやら。